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163 稀有書  39 死刑執行人

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ジェームズ・ベリー(1852– 1913)

 ジェームズ・ベリーは1884年から1891年までの8年間を英国の刑務所で死刑執行官を務めた。彼は40歳で引退する迄に200件以上の死刑を執行し、200ポンドに及ぶ年収を得た。彼は執行官としての記録を、「死刑執行人の体験」という書物に残した。彼が偉いのは、死刑囚が死ぬ時に、出来るだけ苦しみを短くするための方法を考え出したことである。彼は7フィートから10フィートの落下によるロングドロップ・システムを考えた。それは脊髄の切断による瞬間的な死を引き起こし、これまでの絞首刑よりも苦しみや痛みが短くなった。以下の文章は、彼が実践した死刑の記録の一話で、女死刑囚の例である。

●女性殺人者の死刑
 「私は、殺人者で最も残酷で冷酷な人は、有罪判決の後で最も臆病であることが多いと言える。 残酷で無慈悲な殺人者たちは、暴力的な殺人者たちとはまったく異なっている。
法律を犯して戦う暴力的な男たちは、彼らの目的に従って公正に戦う。 彼らはリスクを冒し、率直な方法で結果に応じる。しかし残酷で冷酷な人たちは、臆病さと利己主義をあらわにする。私がマンチェスターのストレンジウェイズ刑務所で処刑したメアリー・アンブリットランドの場合、この例を示した。」
●当日
 「処刑の朝が来ると、彼女は弱ってしまい、自分を完全に支えることができず、2人の女性の看守によって、足場まで運ばれなければならなかった。死刑執行の1時間前に、彼女は最も陰気にうめき声を上げて泣いていた。彼女は独房に入ると、叫び声を上げ、声をあげ始めた。
 彼女の声は苦しみによって弱々しかったが、邢場まで続く彼女の叫びは心を痛めた。
そして白い帽子を彼女の頭上に置くと、記者の一人の表現では、「致命的な恐怖による、精神と肉体の分離に期待するような」叫び声を発した。女性の看守が首に縄をかけるために彼女を支えると、私の合図ですぐに2人の男性看守が持ち場に立った。そして彼女が横に揺れたり、落下する前に、この惨めな女性は息を引き取った。」(76p)
資料 MY EXPERIENCES AS AN EXECUTIONER BY JAMES BERRY. PERCY LUND & CO. 1972