シュールの効用

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159 稀有書 35 「世界犯罪百科全書」

    オリヴァー・サイリャックス『世界犯罪百科全書』原書房1996がある。
この書物は翻訳で710頁(原著は468頁)もあるが、どの項目についても作者の目が行き届いており、いずれも短編小説が書けそうな内容に仕上がっている。また翻訳も読みやすい。項目数は数えてないが500項目はある。ここでは「ニュルンベルク裁判での不公正」という項目を紹介する。

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ニュルンベルク刑務所の独房刑務所(写真ドイツ・ウィキ)

●ニュルンベルク裁判での不公正
 ニュルンベルクの死刑執行は、裁判の終了直後の1946年10月16日に行われた。判決は、米国陸軍によってニュルンベルク刑務所の体育館で、ロングドロップの代わりに標準のドロップ方法を使用して実行された。死刑執行人はジョン・ウッズ軍曹と彼の助手。ウッズは死刑執行に使用されたロープの長さを誤って計算した可能性があり、その結果、一部の男性は意図した首の骨折ですぐに死ぬのではなく、ゆっくりと絞殺された。以下引用。
 「しかし、ニュルンベルクの体育館に特別に造られた3台の処刑台はどれも落とし戸が小きすぎて、落下時にナチ指導者たちの鼻が削り取られた。その上、落下距離も足らなかった。カイテルはロープの端っこにぶら下がったまま20分間も生きていたし、ジョドルは死ぬまで18分、リッペントロップは10分かかった。ゲーリングは自ら命を断って『執行人の鼻をあかそうと』したが、無駄に終わった。彼らはその死体を吊るし首にしたからである。  死刑の障害物は燃やされた。ウツズは死刑執行前に土産物ハンターからロープ一本に2500ドルを提示された。最近KGBファイルから発見された書類によると、ナチの軍司令官たちの遺体は夜中のうちにミュンヘンまで空輸され、火葬にされた後ふたたびニュルンベルクまで空輸されたという。そして帰り道、灰はドイツ上空で機中から撒かれたのである。」(450p)