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197 稀有書 73 切り裂きジャック事件

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「英国の罪と罰」(2016) の表紙

 アレック・フィッシャー他「英国の罪と罰」は、西暦1000年から現代迄のイギリスの刑法史の教科書である。この書物は一般のノンフィクションというよりは、受験参考書のようにいろんな設問が用意されており、個別にイラストや表を入れてまとめている。こうした編集方法もジャンルによっては有効かもしれない。以下は、有名な「切り裂きジャック事件」を扱ったもののイントロであるが、本文では捜査経過が詳しく語られる。
●切り裂きジャック事件
 1888年8月31日から11月9日までの間に、5人の女性が驚くほど似たような恐ろしい方法で殺害された。切り裂きジャックの標的となったのは、ロンドンのイーストエンドのスラム街に住み、客を取っていた娼婦たちだった。
 マスコミでの報道の熱狂があり、デマから殺人者と名乗る人物から新聞や警察への大量の手紙が届いた。そのうちの1人は「切り裂きジャック」と署名していた。
 警察はこのニックネームは固執した。それは殺人者が犠牲者の体を開いた残忍な方法を強調しまし、そしてしばしば体の部分を「お土産」として取ったことを告げていたのだ。
 1888年11月のメアリー・ケリーの恐ろしい殺人と切断の後で、突然犯行を停止した。
 ジャックの犠牲者は以前ホワイトチャペルで殺害された女性たちであり、その後他の被害者もいたが、これらの5人だけが決定的にジャックに関連づけられていた。
 漫画や新聞記事は、犯人への対応で警察を無力、無知でさえあると表現した。実際には、警察は非常に懸命に働き、殺人者を捕まえるためにいくつかの方法を試みたが、真犯人逮捕に至らなかった。事件が進むにつれて、警察がいくつかの技術を改善したという功績はあるが。(151p)
 出典 Crime and punishment in Britain, c.1000-present by Alec Fisher, Hodder Education, 2016