シュールの効用

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175 稀有書  51 百頭女

 「エルンストの『百頭女』には物語がある。合計147葉のコラージュは、全9章立ての、予想を超えた前衛と伝統が相克しあう奇っ怪な物語になっている。」松岡正剛(1246夜 2008.6.6より)

 マックス・エルンスト(1891-1976)のコラージユ作品『百頭女』は、1929年にパリで出版された。芸術の秩序でさえ不自由と感じる人にとって、芸術からの脱皮に一つの方向性を与えたが、それなりに限界はある。彼の最初のコラージュは1919 年の秋にはじめ、1923 年にコラージュの練習をやめた。1929 年に彼が数週間アルデーシュの義理の両親の家で過ごし、セーヌ川のほとりにある古本屋から購入したばかりの資料をパリから持ってきたのが、彼の作品のコラージュを実現させたといえる。以下はそのなかからの3点。内2点は松岡も「千夜千冊」で取り上げている。

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偉大な聖ニコラウスの後には通行不能な寄生虫が続き、
彼の両側面の付属器によって遠隔誘導される。 

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                       そして蝶々たちが歌い始める

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終り、そして続き(註/最後の場面は最初の場面と同じ図柄)