シュールの効用

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(18) 樹木のシュール

世界に存在する樹木の種類は数えられないが、想像上の樹木も入れるとどうでもよくなる。
想像上の木の一つに人面樹(にんめんじゅ)がある。これは江戸時代の画家・鳥山石燕の描いた妖怪画集『今昔百鬼拾遺』(1781年)に掲載された中国人の想像上の木。
その説明に、「山谷にあり その花、人の首のごとし。もの言わずしてただ笑う事しきりなり。しきりに笑えば、そのまま落花す」とある。
この「人面樹」は、中国の百科事典『三才図会』人物12巻(1609年)に掲載された「大食国(だいしこく)」にある木を描いたものである。『三才図会』によれば、大食国は西南千里にある国で、この木は人の首に似た花をつけ、問いかけると花は笑うが、笑いすぎると花がしぼんで落ちてしまうという。

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人面樹『今昔百鬼拾遺』より

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大食国『三才図絵』より