シュールの効用

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(14) 奴隷制度のシュール

アメリカの奴隷制度は古いが、奴隷反対運動の歴史も古い。その一つである米国反奴隷制協会は、アメリカの奴隷制の実態についての知識を伝える「米国反奴隷制度年次暦」を1836年から毎年発行してきた。
この年次暦には、奴隷制反対の文献、芸術、広告を用いて暦と天文データをまとめたもの。 50頁程の厚さで、反奴隷制の必要性についての情報を広める手段として役立った。
ここに紹介した2枚の挿絵は、1838年度版の年次暦から取った。
一枚目(1838年3月)の挿絵は「黒人奴隷は互いにかばうが、主人は罰する行為も奴隷にさせている」ことを紹介している。
2枚目(同年4月)は「奴隷のパウロは奴隷生活に非常に苦しみ、脱走を試みたが、寒さと飢えに耐えられず、ついに首を吊った」ことが紹介されている。

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黒人同士間で仲間を罰する図(1838年3月)

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逃亡奴隷の末路(1838年4月)