(2)シュールと彗星
彗星は昔から災をもたらす星として忌避されてきた。そして彗星が現れると、多くの国の作家が画題として取り上げた。数ある作品の中で、ジョン・マーチンとターナーの作品がおすすめ。ジョン・マーティン(1789英国生まれ)は、聖書を題材にした作品が多く、これもその一環である。
彗星は実在現象だから、超現実とは言えないが、その効果は日常生活をかき回す働きをするので、シュールと言えないことはない。
ジョン・マーチン「洪水前夜の彗星」1840
一方、ウイリアム・ターナー(1789英国生まれ)は、1858年10月に現れたドナティ彗星の模様を描いていた。現代彗星は写真で撮られ、絵の題材になりにくいが、絵でしかその面白さは描けないかもしれない。
ウイリアム・ターナー作「ドナッティの彗星」1858