シュールの効用

シュールの可能性を追求するブログ

171 稀有書  47 彼らが世界を支配する方法

f:id:danbuer:20210528223919j:plain

ペドロ・バノス著「彼らが世界を支配する方法」2020

 この本は、過去25年間の著者の仕事と研究の公正な要約を表している。副題は「グローバルパワーの22の秘密戦略」として、1.「抑止力」から22.「ラバとサドルバッグ」までの22の戦略を提示している。ここでは、17.「脱出ルート」を紹介。
■規則17 絶望的な敵が最も危険な敵
マキャヴェッリは、「敵を絶望に追いやることは、人を予測不可能で危険なものにする」として、注意している。 孫子は言う「'敵が必死であれば、彼らは勝つか死ぬことになるので、彼らを追いつめるのは避けよう。 軍隊を囲むときは、出口を空けておく。 彼らが戦うすべてを欠いているなら、彼らを絶望に追いやること避けなければならない。」 脱出ルートを与えることで、敵が威厳のある後退させ、こちらの勝利のために、出口は常に開いた状態にあることを確認しよう。
●ノルバでの失策
 入植地ノルバは、ローマの南東30マイルにあるポンティーナ湿地帯を見下ろすヴォルスキ族によって建設された。ローマは紀元前492年からノルバに植民地化しようとし、ローマ・ウォルスキ戦争で勝利した後、支配権を獲得した。
その後、ローマの最初の内戦(紀元前88〜87年)が起こり、ノルバの死をもたらした。内戦は、共和党のローマを独裁政権に戻そうとしたローマの将軍スッラによって引き起こされ、4万人以上の軍隊と共にイタリア半島に入った。 地元の人々は、すでに征服された都市を待つ運命について聞いていた。住民は武装解除され、解体され、都市は略奪された。
この見通しに直面して、まだ征服されていない都市は降伏する意向がなく、抵抗した。 スラの軍隊が都市に突入したとき、その市民は敵の手に落ちるのを避けるために集団自殺をした。 彼らは自ら火を放ち、町を燃やして灰にし、征服者が彼らの富を奪うのを防いだ。それを再建するためのスラの努力にもかかわらず、ノルバはその地政学的重要性を失い、プリニウス長老によって絶滅した都市として分類された。    
 住民が逃げ道を提供されていたら、おそらく彼らは降伏し、都市の富と戦略的価値を維持していただろう。
●地政学的な「エスケープバルブ」
 国際的な地政学である圧力鍋は、主要な組織間の緊張を和らげ、野戦を回避するために、いくつかの「安全弁」が必要となる。
 朝鮮戦争とベトナム戦争は、冷戦下の大国が直接対立することなく、代理戦争によって圧力を放出することを可能にした。 熟練した外交に加えて、彼らは核の使用が必要になると感じるほどの暴発状態になるのを防いだ。
 現在の地政学的な文脈では、国際的な制裁に窒息し、あらゆる面で圧力をかけられている北朝鮮は、暴発を防ぐための外交的な「脱出弁」を提供されなければ、ある種の予期しない行動を起こす可能性がある。