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144 稀有書 20  ジャガーノートの祭

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ジャガーノート車の祭礼

 ジャガーノート(Juggernaut)とは、「止めることのできない巨大な力」という意味をもつが、もともとはインド東部海岸オリッサ州の都市プーリにあるジャガーノート寺院の神で、ジャガーノート(宇宙神)の祭礼に使う巨大な山車のことではない。
 さて、この祭礼に使用するジャガーノートの寺院車は非常に大きく扱いにくい。高さ13.7m、16の車輪があり、それを引くのに数千人が列をつくって引っ張るという。 寺院から寺院車を海浜へ移動させる距離は3.2キロ。 ジャガーノート寺院は、12世紀に東ガンガ王朝のチョダ・ガンガラジャ(1078-1150)によって建設された。 この寺院の主な像は、ジャガーノートと彼の兄弟バラバドラと姉妹サバドラの三位一体。 アシャダ・スカラ・ドワダシの祭礼に、国中から何万人もの信者が集まる。 そしてさまざまな儀式に3000人の聖職者が参加する。この祭礼のために3つのラタス(寺院車)が、数千年の伝統に従ってさまざまな材木から造られる。
 毎年、新しいラタスが造られ、そして祭典の後に切断される。 小箱には、クリシュナ神の灰が納められ、12年ごとにジャガーノートの木像に挿入されると想像されている。そしてそれが、仏陀の神聖な遺灰を納めた卒塔婆をモチーフにしていると推測できる。 (資料 J・ジンマーマン「インドの神ジャガーノートとヒンズー教」1914) JEREMIAH ZIMMERMAN,The God Juggernaut and Hinduism in India/Fleming H. Revell Company1914