シュールの効用

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(43) 犯罪小説の始まり

 時代の世相や風俗を写しだす犯罪小説。その数は膨大で忘れられている名作も多い。スティーブン・ナイト「犯罪フィクション1800年 - 2000年」(2004)の犯罪小説の年表を参考にすると、1773年に発行された「ニューゲート・カレンダー」が、初めて犯罪事件を網羅した作品という。

ニューゲートとはロンドンにあったニューゲート監獄で、1902年まで存在した刑務所。この書は元々ニューゲート監獄の看守たちが記録した処刑記録の官報だったが、この題名が盗用され、別の出版者によって悪名高い犯罪者を紹介する本として出版された。

1773年版は見つからなかったが、図1は1800年版の「ニューゲート・カレンダー」の挿絵。図2は1824年版の挿絵。1841年にはアラン・ポーの「モルグ街の殺人事件」で、最初の知的な探偵が登場する。

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ニューゲート刑務所1800年版挿絵

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1824年版挿絵より