シュールの効用

シュールの可能性を追求するブログ

(20) 植物画のシュール

下の2枚の絵は、ドイツ生まれの植物画家マリア・メーリアン(1647 - 1717)が、植物に昆虫を一緒に描いたものである。
 花の絵や花の図鑑は、普通美しい花だけを中央に描いたものだが、彼女の絵には毛虫と蝶が同じ場所に登場しているので、気分が良いものではない。しかしよく見ると、毛虫はその花に育てられて蝶になるという関係全体が描かれていることがわかる。今で言う自然の生態系を理解していたのである。
彼女は当時オランダ領であった南米のスリナム(現:スリナム共和国)に2度渡り、南米の虫や植物をスケッチした。彼女はオランダに戻ると、スリナムでの活動をまとめた書物を出版。1705年にはスリナムの昆虫類についての画集『スリナム産昆虫変態図譜』を出版している。

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『スリナム産昆虫変態図譜』1719年版より

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同上