シュールの効用

シュールの可能性を追求するブログ

(11)戦場のシュール

戦場の最前線はたえず砲弾が飛び交うエリアで、異常事態が日常化している。したがって戦場では、まともな絵を描いてもシュールな絵になってしまう。第2次大戦の戦闘で負傷して病院に到着したアメリカ兵100人中97人近くが回復し、その多くは再び軍の重要な役割を果たしたという。
第2次大戦中の戦場を描く試みは、軍の要請による12人の画家が描いたもので、完成度が高い。ここではそのうちの2枚を取り上げた。
一枚目はローレンス・スミスの「クイック・アンド・デッド」で、負傷した兵士をジープで医療ステーションに運ぶ場面である。
2枚目はフランクリン・ボッグスの「南洋の島の楽園」という作品。平和時とは異なり、島のヤシの木は砲弾で倒され、その根元には救急治療をした器材が残されている。作品は1945年発行の「米陸軍医療絵画」で紹介された。

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ローレンス・スミス「クイック・アンド・デッド」

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フランクリン・ボッグス「南洋の島の楽園」