シュールの効用

シュールの可能性を追求するブログ

(10) 死後のシュール

シュール・レアリスムは、フロイトの「夢理論」が思想的基盤のひとつになっており、そのため多く画家が夢を題材に制作したものが少なくない。
たしかに夢は神秘的であり、まだまだ解明されつくされてはいない。しかし夢が解明されたとしても、それが終局ではない。なぜならさらに未知なる世界である、死後の世界の謎が待っているからである。
イタリアの詩人ダンテ(1265-1321)は『神曲』で、死後の世界を描いた。その描写は詳細をきわめ、多くの画家がそれを絵に表現した。そのうちギュスターヴ・ドレ(1832–1883)の『神曲』が有名であるが、イギリスの幻想詩人ウィリアム・ブレイク(1757-1827)の『神曲』の挿絵は群を抜いている。あたかも実際に幻視したかのように流動的である。まずこれは超えられないレベルである。

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「神曲地獄篇」愛欲者の圏

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「神曲煉獄篇」炎の中に入るダンテ